成城映画散歩 著高田雅彦(白桃書房刊)

成城映画散歩表紙

 

本書は長年に亘り成城学園に勤務し、東宝映画を研究してきた高田雅彦氏が著した映画本である。

筆者は山形市の生まれ。実家が東宝映画の封切館の株主をしていたことから、幼少時より高校時代まで当地で東宝映画を見続け、大学進学に当たっては、東宝撮影所がある成城大学を選択。職場も成城学園に決め、撮影所にも程近い世田谷区砧に居を構える。

大学生になったばかりの昭和49年、通学途中で東宝映画『青春の踪朕lのロケを目撃。以来、日本映画の中に成城の風景を発見することを、生涯を通じての目標に定め、現在まで発見した品成城の風景が写る映画は140本以上に及ぶ。平成27年には、世田谷美術館が開催した「東宝スタジオ展」の特別企画として、

ロケ現場を訪ねるツアーを実施。それ以降も「せたがや映画散歩」と題した“ロケ地巡りツアー”を継続している。

この書では、それらの成城ロケ映画のうち、東宝映画を中心に50本を紹介。成城学園キャンパスや成城・砧・祖師谷の街並みが写るスチール写真を多数掲載して、そのロケ地を特定するだけでなく、監督や出演者さらにはその作品の時代的背景などにも言及、映画の面白さと成城の風景を語りつくしている。さらに本書では、成城に住んだ日本映画の二大巨人、黒澤明・三船敏郎と成城の深い関係に触れ、そのこぼれ話を紹介す

るとともに、世界中からリスペクトされ続ける『七人の侍』と「生きる』の驚きの撮影現場も徹底解明している。

PCL=東宝映画の歴史も学べる本書は、日本映画に興味のある方ばかりでなく、成城学園近辺にお住いの方、当地でご商売をされている方、成城学園で学んだ方なら、どなたも楽しくお読みいただけるに違いない。

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